2人だからできること。
人は何度も、出会う。/(インタビュー)
Socca(下川佳代さん、Chimaさん)

2022-11-17

「縁があって『また一緒にやろう』って思う気持ちが すごく嬉しかったし」———下川佳代
■ある一点に立ち止まってじっと観察すると、“時間”はときどき思いがけない表情を見せてくれます。長い時間も短い時間も等しく見えたり、進んでいたものが巻き戻されて見えたり、空から地上に降っていたものが舞い上がって見えたり、あるいは———それまで“知っている”と思っていた人と、初めて出会ったような気持ちになったり。
作曲家・音楽プロデューサーであり、tuLaLaとしてソロでも活動する下川佳代さん(Chameleon Label)とシンガーソングライターのChimaさん。お二人によって結成された音楽ユニット〈Socca〉は、「あ、そっか!」という共通の口癖がネーミングの元。10年来の知り合いだったお二人がユニットを結成したきっかけは、2021年リリースの音楽絵本『LOMP』(絵:シンヤチサト)での共演でした。
楽曲はもちろんのこと、〈Socca〉の活動で注目すべきは、アートワークの面白さ。ファーストシングル『雪のあしおと』ではChimaさんがミュージックビデオの監督を担当し、セカンドの『nine』ではクリエイターチームnuvellrand(ヌーベルランド)とタッグを組んだリリックビデオを発表。そして最新曲の『little star』が収められた〈Socca Goody Bag〉では、美術作家・松浦進さんがジャケットアートを担当し、透明なフィルムバッグにステッカーと歌詞カードを封入してリリース。
また、『LOMP(tuLaLa feat.Chima)』と『雪のあしおと』のミュージックビデオが第17回札幌国際短編映画祭でダブル入選、さらには『little star 2022(Sapporo White Illumination version)』が〈第42回さっぽろホワイトイルミネーション〉のコラボレートソングに決定するなど、ニュースが尽きません。
今回はそんな〈Socca〉のクリエイションと、お二人のあいだに流れる“時間”についてのインタビュー。本文中の「あ、そっか!」もお見逃しなく!
「例えば止まってる電車に乗っていても、隣の電車が走ってたら、自分の電車が走ってるみたいに錯覚するじゃないですか。あの感覚を雪でやるんです。逆流してるようになるまで見続けるっていう(笑)」———Chima

■Socca 結成

では、まずSocca結成前夜にあたる、音楽絵本『LOMP』についてお話をうかがっていきたいと思います。Chimaさんは、この作品にフィーチャリングボーカルとして誘われた時のことは覚えていらっしゃいますか?

Chimaさん:『LOMP』はシンヤさんが絵を描いて、佳代さんが音楽で、お二人ともずっと見てきた方だし「やります!!」っていう感じで(笑) 自分もソロの時に絵本を描いたりしていたので、物語にテーマに沿った音楽が入っているというのは、すごくしっくりきました。

―下川さんにもお聞きします。Chimaさんを誘った時の気持ちを、あらためて教えてください。

下川さん:『Fantasy』という曲は作っているうちにボーカルを入れたらどうなるんだろう? という思いが湧いてきた楽曲で、声質的にはChimaちゃんがイメージだなと思ったんです。ただ、結構エレクトリックポップな感じで作っていて、Chimaちゃんはそういう曲はあまり歌っていなかったので気に入るかな? とまずは思いました。それで「やりたーい」っていう返事をもらって歌を入れたら、想像以上にしっくりはまったので、面白いなと思ったんです。
その流れもあって、アルバムの中で他にもボーカルを入れるんだったらChimaちゃんの声でまとめたいなって思って、それで(タイトルトラックの)『LOMP』を書いていた時はすでに声のイメージがあったんです。アンビエントなムードの、しっとりしたバラード。2曲を対比させるような感じで歌モノは作っていきました。

―なるほど、途中からChimaさんの声があっての制作になっていったんですね。

Chimaさん:この音楽絵本は英語の歌詞も面白くて。『LOMP』がロンドン在住のVivi Dさんが歌詞を書いていて、『Fantasy』の歌詞はISISというカナダ出身で札幌在住の方なんですけど、アメリカ英語とイギリス英語は同じ英語でも発音の仕方が違うのでニュアンスを歌詞を書いた方に寄せていくのが面白かったです。自分は日本語でも“訛り”とか好きだからそういうのって楽しくってそれが一冊の絵本でできるのはすごい贅沢だなと思いました。

tuLaLa – 『LOMP』 feat Chima
tuLaLa -『Fantasy』 feat.Chima
―お二人の普段の関係性はどんな感じなんですか? 友達のような?

下川さん:私はそう思ってるけど、Chimaちゃんはどうなんだろう?

Chimaさん:(笑)やっぱり先輩として敬ってますけど、でも佳代さんも抜けてるところがあるから、ツッコミどころがあったりします。
今までソロでずっとやってきて、自分が想像しているものをなんとなく音にしていく方法しかほとんどやったことがなかったんですけど、佳代さんとの場合は“ここからが佳代さんパート”っていう部分があって、アレンジとかも“投げられる”っていうか。

―アレンジなど、投げたものが返ってきた時の驚きもあるんじゃないでしょうか。

Chimaさん:テンション上がりますね(笑) 『雪のあしおと』は弾き語りを渡したんです。「好きにしてください」って。そしたら気を遣って下さって、はじめは弾き語りの原型が残ってたりしたんですけど、それがやっぱり分かるじゃないですか。それで「ぜんぜん気を使わなくていいですよ」って。

下川さん:縁があって「また一緒にやろう」って思う気持ちがすごく嬉しかったし、「こういうことってあるんだな」って思ったので、大切にしたかったんですよ。急いで作るというよりも、ゆっくりあらためてChimaちゃんのことを知りたいと思ったし、曲も新しい形で始めたかったんです。一歩ずつゆっくり始めればいいんじゃないか、って。
だから最初はChimaちゃんの原型を壊したり変えたりしないほうがいいよな、と。そしたら「ぜんぜん気を遣わなくていいですよ」みたいになって、「えっ? いいの?」って(笑) それで「あ、そっか」って思っていろいろ遊びを入れて、めちゃくちゃ構成とかも変えちゃって、こうなったら面白いなっていうのを自由につくってみました。

―Soccaのお二人を見て僕が抱く感想は、“出会いなおし”という言葉です。元々知っていた間柄だったけども、ユニット結成を通してまた出会っていったんじゃないかなと。

下川さん:そうです。

Chimaさん:素敵。

―下川さんは前回のインタビューで、”ソロプロジェクトのtuLaLaをスタートさせたことで、自分はお客さんに何か与えられたんだろうか?”と考えるようになった———、と仰ってましたが、その下川さんからChimaさんはどう見えてますか?

下川さん:お互いの得意なことを生かしつつ今回Soccaが一緒にできたことによってまだやったことのないスタイルにも挑戦していきたいなって思います。
Chimaちゃんってすごく魅力的で不思議だなと思うのは、こうやって“ホワーン”としてるんですけど、ふとした時にはすごく頼もしい時があるんですよ(笑) そういう一面が面白いんですよね。音楽の部分でも勿論そうなんですけど、心の深いところで私に無いと思うものを持ってて、私にないパーツをうまくはめてくれたりとか。反対にChimaちゃんのなかでも私がはまってるのかな? って思います。

■『雪のあしおと』MV

―Chimaさんが監督をされたミュージックビデオのこともお聞きしたいです。

下川さん:Chimaちゃんが「私作ろうかなー」ってチラッと言ってて、でも言ってただけだから、どうなるのかな? と思ったんですけど。でも「作る!」って言ったから、それはもう「お願いします」って(笑)

MV Socca – “雪のあしおと”/Director Chima
―僕はこのミュージックビデオを観た時に、すごく良い映像だなと思ったんですよ。撮られている風景はどれも日常じゃないですか。でもそれらが、モノクロの世界の中で映像がハイスピードになったり、コマ送りになったり、ジャンプカットしたりする…。編集のコラージュの中にファンタジックな美しさが立ち現れるような映像で、Chimaさんには世界がこう映っているのかな、と思いました。
なので、今回はすごくいろいろ聞きたかったです。まず、使用した機材を教えてもらってもいいですか?

Chimaさん:今はDaVinci Resolve(ダビンチ リゾルブ)っていう編集ソフトを使ってるんですよ。でもこの時はiMovie(アイムービー)しかなくて。Soccaっていうユニットは、私にとってやってなかったことをどんどんやっていきたい場なので、「作ります!」って言っちゃったんでしょうね(笑)
でも、ちゃんと考えようって思った時には構想ができてました。「雪ってすごい」って思うんですけど、私は(出身が)大阪なので、はじめて北海道に来た時に朝真っ白になってて、しかもしばらくそれがずっと続くじゃないですか。白黒になったときに世界がめちゃくちゃかっこよくて、春になったら今度は色が出てきて生まれ変わったみたいで、それって雪国でしか見られないことで…。

これは“一年”の中での変化ですけど、すごい短いスパンで言うと“雪が掌にのって溶けるまでの時間”とか、長いスパンで言うと“人が死ぬまでの時間”、ってなったときに「この2つになんの違いがあるんだろう?」って思うんです。記憶だったり、昔のことが懐かしいような新しいような感覚だったり、そういうのって重なってると思うんです。雪は、それを考えるきっかけをくれる物のひとつで。なのでミュージックビデオでは“雪の足跡”をつけていく感じと、“昔の映像”という構想がありました。撮る画が決まったら、コロナになり真っ先に買った富士フィルムのカメラを使い、佳代さんにも手伝ってもらって作りました。

―では、機材は富士フィルムのカメラと、iMovieだったんですね。

Chimaさん:そうです。一部スマホの映像が1箇所だけ入ってますけど、ノイズを入れて合わせました。

―ミュージックビデオを観て、Chimaさんは以前から映像作品を作ろうと思っていて、映像の勉強をした人なのかなと思いました。

Chimaさん:全然です!でもよくやるんですけど、錯覚させるのが好きで。例えば止まってる電車に乗っていても、隣の電車が走ってたら、自分の電車が走ってるみたいに錯覚するじゃないですか。あの感覚を雪でやるんです。逆流してるようになるまで見続けるっていう(笑)

―下川さんは映像に出演もされているわけですが、撮っている時の印象深い記憶はありますか?

下川さん:本当はもっとたくさんカットを撮ってたんです。(雪に)ばーんと倒れたりだとか。いろいろ撮ってたんですけど、これをここで使うのか! っていう驚きとか、逆再生したり、一瞬だけ切り取るっていうのが面白いと思いましたね。そこがすごく上手だなっていうか、合ってるっていうか。

Chimaさん:豊平川を歩きましたね(笑) 「佳代さん! とにかく歩いてください!」「佳代さん!帰ってきてください!」

下川さん:そうそう。だから撮影も面白かったよね。また作りたいですね。

Chimaさん:ちょっと次作りたいやつがあって…。

―ぜひまた観たいです。

下川さん:Soccaって不思議なんですよね。やりたいことが次から次へ出てきちゃうから、悩んでる暇がないっていうか。ソロだと結構考え込んだりするんですけど、Soccaは気持ちの流れのままに〜(笑)

―自分にない部分は相手が補ってくれるから、投げてみたくなる、そういうのがあるから良いのかもしれないですね。

下川さん:そうですね、私もはじめてユニットをやったんですけど、難しいけど面白いな、って。

Chimaさん:2人、いいですよね。

■2ndシングル『nine』

―ではここで、『nine』の話にも参りましょう。『nine』のミュージックビデオは、映像制作やアートワークでChameleon Labelと深い関わりのあるnuvellrand制作によるリリックビデオですね。
『nine』は言葉が踊っているような楽曲だからこそ、リリックビデオというアプローチがすごいぴったりだと思いました。
この楽曲とリリックビデオは、まずなんと言っても歌い出しの「晴れと平の和」のフレーズで完全に持っていかれます。

下川さん:私、言葉ってすごいなと思うんです。あの一節を受け取った時に、「あ、もういけるな、決まった」って方向性も全部決まりました。

―ああいう心を掴む言葉はどうしたら出てくるんでしょうか。Chimaさんは普段どんなふうに言葉のアンテナを張っていますか?

Chimaさん:今回『nine』に関しては、佳代さんから曲が来て、その音に言葉がめちゃくちゃ乗せやすかったんです。音のイメージがまずピンク色で、そこの“感じ”に向かっていく、みたいな。言葉って…わからないんですけど、ここ5年くらい自分のルーツを探ってるんです。たぶん、佳代さんに最初に会ったくらいの時は、曲を聞いても歌詞がまったく入ってこなかったんですよ。ですが、なんかある時ハッとして「言葉、大事だな」となったんですよね(笑)

小学校4年生の時までアメリカにいて、帰ってきた時に日本語ヘタだしすごい馬鹿にされて、日本なんて大っ嫌い! って生きてきたんですけど、「なんて日本って素晴らしいんだろう」って思うようになったんです、たぶんツアーしてる中で。あと年齢も重ねて、言葉や人の歌詞についても興味が出始めて、そしたら“その人に似合う言葉”っていうのがあるってことに気がついたんです。簡単なところだと「俺」とか「わし」とか。

Chimaさん:歌詞って、似合う言葉を選ぶのがすごく大事だなと思うんですけど、『nine』に関しては音のインパクトにそのままイメージを乗せた歌詞にした感じです。なんて言うんでしょう…地上からちょっと浮いているくらいのウキウキ感、でも気持ちはもう空の上まで行ってる、みたいな。

『nine』を制作していた時は新型コロナウイルスの影響が今よりも大きくて、世界が一旦止まっているように見えるけど、まあそんなの地球規模で言ったら大したことではなくて、「1から9まで行って、一回全部が生まれ直してまた1になっていく」…そういうループしていく時代のイメージがあって、「今はまさに9のターンなのかも」っていう感覚があったんです。それと(音から感じた)“ピンク”、“春”、“踊る感じ”に自分の言いたいメッセージを入れていきました。伝えたいことがけっこうはっきりしてたからか、(作詞は)すごい早かったです。

MV Socca “nine”/Art,Director nuvellrand
―リリックビデオ制作の経緯についてもお聞かせください。クリエイティブチームのnuvellrandとはどういうやりとりだったんですか?

下川さん:「nineの曲はnuvellrandと一緒に作りたいね」って話してたんです。今回はリリックビデオにしようって思っていたので、キーワードを伝えてすり合わせながら制作してもらいました。
『nine』のジャケットは美術作家の松浦進さんに作っていただいたんですけど、文字がはみ出すくらいダイナミックで、その文字のイメージが2人ともすごく気に入っていたので、「あの文字の雰囲気」っていうこととか、「言葉をメインにして、図形とか、『雪のあしおと』と真逆でポップな色を使いたい」「遊びや笑える感じを絶対入れたい」ってリクエストして大満足の作品に仕上がりました。しっくりとイメージに合ったよね?

Chimaさん:合いましたね。

下川さん:今回の映像担当のShiryuくんも音楽を作っているので、よく音を聴いてくれて。私が間奏やアウトロで立体音響のプラグインを使って音を動かしているところを、その箇所は映像もぐにゃぐにゃになってたりだとか、そういうリンクも面白かったです。
『雪のあしおと』と『nine』、2つが真逆のイメージで並べられたから、お互いに引き立てられたのかなって感じはしますね。

■10年前の曲をリアレンジした『little star』

―そして、最新作についてもお聞かせください。Soccaは先日、3曲入りCD+オリジナルステッカー+ブックレットが入った〈Socca Goody Bag〉をリリースされました。これまでのシングル曲に加え、10年前に下川さんがChimaさんをプロデュースした際の楽曲『little star』のリアレンジが入っています。リアレンジする際にはどんなことを考えて作っていきましたか?

下川さん:このアルバムにたくさんの曲を入れるつもりはなくて、今まで発表した曲+入れるとしたらさらに1曲かなとChimaちゃんと相談したときに、私の中では『little star』をリメイクしたいなと思っていたんです。それでChimaちゃんに「『little star』をリメイクしたいんだけど、どう?」って聞いたら、Chimaちゃんも「わたしもそう思ってた!」みたいに答えてくれて。

やっぱり、10年前に出会って私がプロデュースして一緒に作りはじめたのがChimaちゃんの最初の『鈴蘭』っていうアルバムだったので、そこから何か1曲、あの時のやった作品をひとつ取り出して、私たちみたいに新たな形でやったらどうかなと。

下川さん:ギリギリまで打ち込みでいこうかなと思っていたんですけど、急遽いつもすごく信頼している弦楽四重奏のメンバーとやれる機会があったので、これはのっかるしかない!レコーディングしなさい!との神の声かも(笑) と思って急いで譜面を書いて弦のメンバーに送りChimaちゃんにリニューアルしたデモを送りました。

Chimaさん:すごかったです。「もう明日、東京行くから!」って(笑)

下川さん:そう、ほんとそういう感じで急遽決めて、だからChimaちゃん大変だったと思う。

―そして、強力なストリングスを迎えてのリアレンジが叶ったと。

下川さん:30秒くらいのイントロを付けたんですけど、レコーディングの時はすごく時間をかけて弦プレイヤーの4人が取り組んでくれて、頭が下がる思いでした。いろんな表情や強弱を変えて演奏してくれたり、円陣組んで考えてくれて、私は見てるという感じだったんですけど(笑) プレイヤーに委ねてレコーディングができるようなリスペクトしているメンバーだったので、そういう感じでやりました。

―それを知るとまた聴きごたえがありますね。

下川さん:今一度聞いてください。

―Chimaさんは、10年を経てSoccaとして歌を録っている時など、考えたことなどありましたか?

Chimaさん:レコーディングがまず昔は緊張してました。でも今は、いい音で思いっきり歌えるなんて最高じゃないですか、だからレコーディングが「楽しみ」っていうのが精神的に違います。あと『little star』の歌詞で言うと、昔は「子どももわかるような英語で」って作ったんです。それが今読むと、なんかすごくシンプルで、逆に深く自分に「ああ、なるほど…」ってなったり。

―楽曲が一回離れてまたかえってきた感じですね。

Chimaさん:そうですね。あと自分はレコーディング前は、家で聴く時ってそんなにいい音響で聴かないように練習するんですよ。そしてレコーディングに行って、スタジオでヘッドホンでちゃんと聴くと、さらに気持ちが上がるんです。今回は弦楽四重奏が背中を押してくれました。そのまま身を委ねればよかったので表現的にも楽でした。

下川さん:アレンジも楽しかったです。プレイヤーの演奏する音が思い浮かぶような気心も知れたメンバーだったので、私の頭の中にある音符を全部書いてみることができたので、すごく楽しかったです。

―『little star』の歌を支えているのは弦楽四重奏も勿論そうなんですけど、1番は下川さんのピアノなんじゃないかと思います。

下川さん:わぁ〜なんと嬉しいな。でも実は、一回ピアノも無しにして弦だけにしようかな、っていうパターンも自分の中では試してたんです。けど、これが意外とピアノが重要で、あると無いとでは大違いだったんです。それで演奏もアレンジもやり直して音数とかも調整してみました。新鮮で面白かったですね。時間が経ってChimaちゃんの歌い方も力が抜けて、以前は張って歌ってたところなのに…こんなふうに歌うのね! とか、そういう発見があって。そういう意味で今やってよかったなって。

―“今”だったんですね。

下川さん:そうですね、これは今やる曲だったんだなって思います。

―透明なフィルムバッグにステッカーと歌詞カードを封入してリリースするという〈Goody Bag〉のアイデアはどこからきましたか?

下川さん:実はこのパッケージって、ハードディスクの入れ物なんですよ。CDを入れてみたらぴったり収まって、まずパッケージはこれでいこうか、ってなったんです。歌詞カードは本みたいに綴じて、CDも中に入れるんじゃなくてオモテに出した方がぜったいいいんじゃない? って。

Chimaさん:(ジャケットの)絵が素敵なので。

下川さん:そうそう。それとステッカーをセットにして届けたいなって。

―どんなふうに封入のステッカーを使って欲しいな、というのはありますか?

Chimaさん:私は見てもらえたらいいです。ステッカーは今回デザイナーのCadbunnyナホさんがデザインしてくれたのです。ほんとはひとつに決めるつもりが全部良くて、選べなかった。

下川さん:歌詞カードの写真も松浦さんのアトリエの絵の具の瓶とかがそのまま写ってるんですけど、それもそのままの風景がいいなと思って、あえて映り込んだ写真を使いました。

―手に取るのが楽しみになるパッケージですよね。

下川さん:“お楽しみ袋”、みたいなね。好評です。

■これからの Socca

―さて、いろんな“届け方”をしているSoccaなんですけども、この先の楽曲の届け方として、どんなヴィジョンをお持ちかお聞かせください。ライブや新しいアルバムも楽しみですね。

Chimaさん:“おもちゃ箱”じゃないですけど、遊び心を大切にしたいのでライブも〈Goody Bag〉みたいにちょっと遊びながら、そういうのが今後もできたらいいなと。それと今回Soccaで楽しいのが、アートワークの話ができることなんです。それは女性ユニットならでは感じがする。女の子ってかわいいものとかお気に入りのものをつくることに懸けてる、みたいなところがあって、佳代さんとだとそれができるのが醍醐味だと思います。
アートが好きっていう共通点もあって、そういうのも含めてライブでも空間作りしたいですよね。

下川さん:やりたいねー。来てもらった人にも、「ここで(ライブを)!?」みたいに、空間を楽しんでもらえるようにできるといいなってイメージはあります。

―ライブでSoccaの音楽を聴ける日を楽しみにしたいと思います。次のアルバム制作などはいかがですか?

下川さん:アルバムはつくり始めていてまたいろいろ挑戦が始まっているので、新たな顔を見せられると思います。

―すごいですね、また一曲一曲が挑戦みたいな感じなんでしょうか。

Chimaさん:馴れって怖いですからね(笑)

下川さん:やったことがないことは何なのかな?っていうのを考えて新しい曲でもやっているし、あと、もう少しで完成する曲もいくつかあったりするのでそれを年内しっかり作って、ライブと並行して考えていきたいなと。

―楽しみです。その時にはまたインタビューをさせてください。本日はありがとうございました。

下川さんChimaさん:是非是非またお話しさせてください!ありがとうございました。

〈All Photo by 繁野潤哉/取材・構成 竹田賢弘/撮影地 モエレ沼公園 ガラスのピラミッド〉

■information

【ライブ情報】
2022年11月22日(火) 16時30分頃〜
場所:大通公園3丁目会場特設ステージ
第42回さっぽろホワイトイルミネーション〉点灯式にて(観覧無料)

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